| 改正ポイント | 特定物質・VOC排出基準の強化 |
| 対象 | 工場・事業場の大気排出 |
| 関連資格 | 公害防止管理者(大気) |
| 環境計量士への影響 | 大気測定需要の増加 |
📊 概要
特定工場の環境担当者・公害防止管理者を目指す人 / 大気規制の最新動向を把握したい環境専門家
大気規制対象外の業種・職場の人
2026年改正でVOC・特定物質の規制が強化。改正前後の変更点を整理しておくと試験対策にも役立つ。
大気汚染防止法とは
大気汚染防止法は、1968年に制定された日本の環境法の中核を成す法律です。工場や事業場から排出される大気汚染物質を規制し、国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的としています。この法律は、高度経済成長期の公害問題を背景に制定され、以降、社会情勢や科学的知見の進展に応じて数度の改正が行われてきました。
法律の適用対象となるのは、ばい煙発生施設、揮発性有機化合物(VOC)排出施設、粉じん発生施設、特定粉じん排出等作業などです。これらの施設を設置する事業者には、都道府県知事への届出義務、排出基準の遵守、測定・記録の義務などが課されています。
現在進行中の制度見直しと今後の動向
大気汚染防止法は、環境省の中央環境審議会において継続的に見直しが検討されています。近年の主な検討課題には以下のような項目があります。
- ✓PM2.5対策の強化:微小粒子状物質(PM2.5)による健康被害が継続的に報告されており、より効果的な規制手法が議論されています
- ✓化学物質のリスク評価:科学的知見の蓄積により、有害大気汚染物質の優先取組物質の見直しが定期的に行われています
- ✓国際的な環境基準への対応:WHO(世界保健機関)が2021年に発表した大気質ガイドラインへの対応が検討課題となっています
- ✓カーボンニュートラル政策との整合:2050年脱炭素社会実現に向けた政策との連携が議論されています
- ✓測定技術の進歩への対応:より精密な測定が可能になったことで、測定方法や報告制度の見直しが検討されています
※2026年改正に関する注意:本記事執筆時点(2025年1月)において、環境省の公式サイト、官報、中央環境審議会の議事録には「2026年改正」として確定した内容は公表されていません。法改正の具体的な内容や施行時期については、必ず環境省の公式発表をご確認ください。
現行制度の概要と課題
現行の大気汚染防止法では、以下の規制体系が確立されています。
| 規制分野 | 主な内容 | 対象施設数(目安) |
|---|---|---|
| ばい煙規制 | 硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじんなどの排出規制 | 約18万施設 |
| VOC規制 | 揮発性有機化合物の排出抑制(法規制+自主取組) | 約5万施設 |
| 粉じん規制 | 一般粉じんおよび特定粉じん(アスベスト等)の規制 | 約3万施設 |
| 有害大気汚染物質対策 | 優先取組物質23物質の排出抑制 | 測定地点約400箇所 |
※施設数は環境省「大気汚染防止法の施行状況」(令和4年度)より
有害大気汚染物質の現状
環境省が指定する有害大気汚染物質の優先取組物質は、現在23物質が指定されています(令和5年3月現在)。これらの物質については、環境基準や指針値が設定され、全国約400地点で常時監視が実施されています。
現在の優先取組物質(一部):
- ✓ベンゼン(環境基準:年平均値3μg/m³以下)
- ✓トリクロロエチレン(環境基準:年平均値130μg/m³以下)
- ✓テトラクロロエチレン(環境基準:年平均値200μg/m³以下)
- ✓ジクロロメタン(環境基準:年平均値150μg/m³以下)
環境省の「令和4年度有害大気汚染物質モニタリング調査結果」によれば、これらの物質の多くは環境基準を達成していますが、一部地域では継続的な監視と対策が必要とされています。
※将来の規制対象物質:科学的知見の進展により、新たな物質が追加される可能性があります。具体的な追加物質については、中央環境審議会の審議を経て決定されます。最新情報は環境省の公式サイトでご確認ください。
VOC規制の現状と課題
揮発性有機化合物(VOC)規制は、2004年の法改正で導入され、2006年から本格施行されています。現行法では、法規制と自主的取組の組み合わせによる排出抑制が行われています。
環境省の「VOC排出抑制の実施状況」(令和4年度)によれば、平成12年度(規制前)と比較して、令和3年度のVOC排出量は約45%削減されています。この成果は、法規制対象施設(33業種)における排出基準の遵守と、自主的取組による削減努力の両方によるものです。
現在のVOC規制対象施設(主要業種):
- ✓塗装施設(吹付塗装、印刷回路用銅張積層板製造等)
- ✓接着の用に供する乾燥施設
- ✓印刷回路用銅張積層板の製造の用に供する乾燥施設
- ✓粘着テープ・粘着シート製造に係る乾燥施設
- ✓工業製品の洗浄施設(ドライクリーニング機等を含む)
※今後の見直し:新技術の普及(リチウムイオン電池、半導体製造等)に伴い、規制対象業種の追加が検討課題となっています。ただし、具体的な追加業種や施行時期は未定です(2025年1月現在)。
環境計量士の役割
大気汚染防止法における環境計量士の役割は重要です。環境計量士(濃度関係)は、大気中の汚染物質濃度の測定や分析において専門的知識を持つ国家資格者です。
現行制度における環境計量士の主な役割:
- ✓計量証明事業での必置:計量証明事業所には、環境計量士の配置が計量法により義務付けられています
- ✓測定の信頼性確保:複雑な測定が必要な物質については、環境計量士による測定または確認が推奨されています
- ✓測定方法の選定と管理:適切な測定方法の選定、測定機器の管理、精度管理などを担当します
- ✓測定結果の評価:測定データの妥当性評価、異常値発生時の原因究明などを行います
経済産業省「計量行政の現況」によれば、環境計量士(濃度関係)の登録者数は年々増加傾向にあり、大気環境測定の専門性が高まっていることを示しています。
※将来的な役割拡大の可能性:測定技術の高度化や新規物質の追加に伴い、環境計量士の専門性がより重要になると考えられています。ただし、具体的な制度変更については公式発表をご確認ください。
事業者が把握すべき現行義務
大気汚染防止法の規制対象となる事業者は、以下の義務を遵守する必要があります。
設置・変更時の義務:
- ✓ばい煙発生施設等の設置・変更時には、工事開始の60日前までに都道府県知事等への届出が必要
- ✓届出内容:施設の種類・規模、使用燃料、排出ガス量、排出物質の種類と濃度等
測定・記録の義務:
- 排出ガス・排出水の定期測定(頻度は施設の種類により異なる)
- 測定結果の記録・保存(3年間)
- 測定は自社実施または登録測定機関への委託
排出基準の遵守:
- 施設ごとに定められた排出基準値の遵守
- 基準超過時の速やかな改善措置と報告
※最新情報の確認:法令改正や地方自治体の上乗せ規制については、所轄の都道府県・政令市の環境部局にご確認ください。また、環境省の公式サイトでは、最新の政令改正情報や通知が公開されています。
📈 改正内容の詳細
【重要なお知らせ】2026年改正に関する情報について
本記事をお読みになる前に、必ずご確認ください。
本記事のタイトルには「2026年改正」という表現が含まれていますが、2025年1月時点において、環境省の公式サイト、官報、中央環境審議会の議事録等には、「2026年施行」として確定した大気汚染防止法の改正内容は公表されていません。
以下のセクションでは、現在進行中の検討課題や過去の改正事例、制度見直しの方向性について解説しますが、これらは確定した改正内容ではありません。
正確な情報源:
- 環境省公式サイト(https://www.env.go.jp/)の「法令・告示・通達」ページ
- 中央環境審議会の審議状況(https://www.env.go.jp/council/)
- 官報(国立印刷局の官報検索サービス)
- 都道府県・政令市の環境部局からの公式発表
大気汚染防止法に関する最新の制度変更については、必ず上記の公式情報源で確認してください。企業の対応計画を立てる際には、所轄自治体の担当部署への問い合わせをお勧めします。
有害大気汚染物質の見直しプロセス
有害大気汚染物質の優先取組物質は、環境省の中央環境審議会大気・騒音振動部会において、科学的知見に基づき定期的に見直しが行われます。
見直しの基準:
- 人への健康影響に関する科学的知見(疫学調査、動物実験等)
- 大気中への排出または飛散の状況
- 大気中での残留性・移動性
- 測定可能性(分析技術の確立)
- 対策技術の実用可能性
過去の追加・見直し事例として、平成13年には塩化ビニルモノマー等が追加され、平成22年には塩化メチルが指針値設定物質となりました。このように、新たな科学的知見や測定技術の進歩により、規制対象物質は継続的に見直されています。
今後追加が検討される可能性のある物質分野:
- 新規化学物質(新技術・新製品の製造過程で使用される物質)
- 既知物質の代替物質(規制物質の代替として使用されるようになった物質)
- 複合影響が指摘されている物質
※注意:具体的な追加物質名や追加時期については、中央環境審議会の審議を経て正式決定されます。本記事執筆時点では確定情報はありません。
環境基準と排出基準の関係
大気汚染防止法における規制体系は、環境基準(環境目標値)と排出基準(事業場での規制値)の2層構造になっています。
環境基準:
- 人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準
- 大気の汚染に係る環境上の条件について定めたもの
- 行政上の政策目標であり、直接的な規制基準ではない
排出基準:
- 事業場から排出される大気汚染物質について、施設ごとに定められる規制値
- 法的強制力を持ち、違反には罰則が適用される
- 施設の種類、規模、地域により異なる値が設定される
環境省「大気汚染に係る環境基準について」によれば、現在、硫黄酸化物、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、二酸化窒素、光化学オキシダント、PM2.5、ベンゼン等について環境基準が設定されています。
基準値見直しのプロセス:
- 科学的知見の集積(疫学研究、毒性試験等)
- WHOガイドライン等国際的基準との整合性検討
- 中央環境審議会での専門的審議
- パブリックコメントの実施
- 環境大臣による告示
このプロセスには通常数年を要するため、基準値の変更は慎重に進められます。
VOC規制の仕組みと今後の方向性
VOC(揮発性有機化合物)規制は、2004年の法改正で導入された比較的新しい規制手法です。法規制と自主的取組のベストミックスという特徴的な方式を採用しています。
現行のVOC規制の枠組み:
| 規制方式 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 法規制 | 大規模排出施設(33業種) | 排出基準の設定、測定・記録義務、基準超過時の改善命令 |
| 自主的取組 | 中小規模施設、その他業種 | 業界団体による自主行動計画、事業者の自主管理 |
環境省「VOC排出抑制制度の施行状況」によれば、この方式により、平成12年度(基準年)から令和3年度までにVOC排出量が約45%削減されました。内訳は、法規制対象施設からの削減が約30%、自主的取組による削減が約15%とされています。
今後の検討課題:
- 新技術・新産業への対応:リチウムイオン電池製造、半導体製造、3Dプリンター製造など、近年成長している産業でのVOC使用実態の把握
- 小規模事業者への対応:現在は自主的取組の対象だが、排出実態に応じた適切な管理手法の検討
- 代替物質への対応:VOC削減のために使用される代替物質の環境影響評価
- 測定・報告の効率化:IoT技術を活用した常時監視システムの導入可能性
※将来的な制度変更:これらの課題については、中央環境審議会での審議や、事業者・業界団体との協議を経て、必要に応じて制度改正が検討されます。具体的な改正内容や時期は未定です(2025年1月現在)。
測定・報告制度の現状
大気汚染防止法では、規制対象施設を設置する事業者に対して、排出ガス等の測定と記録の保存が義務付けられています。
現行の測定義務:
| 施設区分 | 測定頻度 | 測定項目 |
|---|---|---|
| ばい煙発生施設(大型) | 年2回以上 | 硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじん等 |
| ばい煙発生施設(中小型) | 年1回以上 | 硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじん等 |
| VOC排出施設 | 年1回以上 | VOC濃度 |
| 特定粉じん発生施設 | 作業完了時 | アスベスト濃度 |
※測定頻度は施設の種類・規模により異なります。詳細は都道府県・政令市の条例もご確認ください。
測定の実施方法:
- 自社測定:事業者が自ら測定機器を設置・運用して測定(適切な技術と知識が必要)
- 委託測定:計量法に基づく登録を受けた計量証明事業者に測定を委託
環境省の調査によれば、大規模事業者の多くは自社測定体制を整備していますが、中小規模事業者の約7割は計量証明事業者に測定を委託しています。
報告制度:
- 測定結果は記録し、3年間保存することが義務付けられています
- 排出基準超過時には、都道府県知事等への報告が必要です
- 一部の自治体では、定期的な測定結果報告書の提出を条例で義務付けています
電子化の動き:
近年、行政手続きのデジタル化が進められており、一部の自治体では届出や報告の電子化が始まっています。環境省でも、将来的な電子報告システムの構築が検討課題となっていますが、全国統一システムの導入時期は未定です(2025年1月現在)。
環境計量士の資格制度
環境計量士は、計量法に基づく国家資格で、環境に関する計量(測定・分析)の専門家です。大気汚染防止法における測定の信頼性確保において、重要な役割を担っています。
環境計量士(濃度関係)の資格概要:
- 試験実施機関:経済産業省(国家試験)
- 試験科目:環境関係法規及び化学に関する基礎知識、化学分析概論及び濃度の計量、計量関係法規、計量管理概論
- 合格率:例年15〜20%程度(令和4年度は17.8%)
- 登録者数:約2万人(令和4年度末時点)
※合格率・登録者数は経済産業省「計量行政の現況」より
計量証明事業における必置義務:
計量法により、計量証明事業(環境計量証明事業)を行う事業所には、環境計量士の配置が義務付けられています。具体的には、事業所ごとに最低1名以上の環境計量士を置く必要があります。
実務における役割:
- 測定方法の選定と妥当性確認
- 測定機器の校正・精度管理
- 測定データの品質保証
- 測定結果の評価と報告書作成
- 異常値発生時の原因究明
今後の重要性:
測定技術の高度化、新規物質への対応、測定データの信頼性確保の観点から、環境計量士の専門性はますます重要になっています。特に、複雑な化学物質の測定や、微量物質の分析においては、高度な専門知識が不可欠です。
事業者の対応ポイント
大気汚染防止法の規制対象となる事業者は、現行法の確実な遵守と、将来的な制度変更への準備が必要です。
現時点で確実に実施すべき事項:
- 現行規制の確実な遵守
- 自社施設が規制対象かどうかの確認
- 必要な届出の実施(新設・変更時)
- 定期測定の確実な実施
- 測定結果の記録・保存(3年間)
- 排出基準の遵守
- 測定体制の確認と強化
- 測定機器の適切な保守管理
- 測定担当者の教育訓練
- 計量証明事業者との契約内容確認
- 環境計量士との連携体制構築
- 最新情報の継続的な収集
- 環境省の公式サイトを定期的にチェック
- 所轄自治体からの通知・指導を確認
- 業界団体の情報提供を活用
- 中央環境審議会の審議状況を把握
将来的な制度変更への備え:
- 新技術・新設備導入時には、VOC排出の可能性を事前評価
- 代替物質・代替技術の情報収集
- 環境管理体制の継続的な改善
- 社内の環境教育・啓発活動の充実
相談窓口:
- 所轄の都道府県・政令市の環境部局
- 経済産業局(業種別の相談窓口)
- 業界団体の環境担当部門
- 計量証明事業者(測定に関する技術相談)
法令遵守は事業継続の基本です。不明な点は必ず公的機関に確認し、適切な対応を心がけてください。
🔍 環境計量士試験対策
環境計量士とは
環境計量士は、計量法に基づく国家資格で、環境に関する計量(測定・分析)の専門家として、大気や水質の汚染物質濃度測定において重要な役割を果たします。特に環境計量士(濃度関係)は、大気汚染防止法や水質汚濁防止法に基づく測定業務において不可欠な資格です。
環境計量士の区分:
- 濃度関係:大気中・水中の汚染物質濃度の計量(本記事で扱う資格)
- 騒音・振動関係:騒音レベル・振
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